版面

エディトリアルデザインの大きな要素である版面(はんづら)について、基本的なことをコンパクトにまとめました。印刷物には版面と余白が設定されています。版面とは、本文のテキストや図版、キャプションなどの要素を配置する領域のこと、余白とは本文をレイアウトしない領域のことです。この2つの関係から誌面設計に必要な考え方を紹介します。

版面とは

版面(はんづら)とは、柱やノンブルを除いた本文レイアウト部分を指すのが一般的だ。レイアウトの基本的な枠組みであり、ページレイアウトはこの版面の設定を決めることから始まる。

版面と余白

ペ版面は右の例のように、余白とのバランスで算出されるが、その余白は、版面に入れる文字要素を設定することで決定される(余白を先に決めるのではないところに注意したい)。版面は、基本となる文字サイズ、文字送り、行送りや、そのページに収める文字数を考え、行数や字詰め量を調整して、作成する。その際に、縦書きであれば天地を、横組みであれば幅を整数倍にしないと、アキがでてしまうので注意。そして版面は、仕上がりの紙面サイズと縦横比が同じとなる相似形が望ましい。

版面作成の現場

版面を決定するためには、想定読者の年齢層・性別や読ませたいイメージ、媒体の特徴などを考慮し、(1)判型(2)組み方向(3)本文文字サイズ(4)一行の字詰め(5)行送り・行数(6)段数・段間などの要素を確定させる必要がある。

版面と段数

段数が少ないと、行長が長くなり可読性が低下するため、一般に版面は小さくなり、文字は大きくなる。逆に、雑誌やムックのように多段組みの媒体は、版面は大きく行長が短いため、文字は小さめでも可読性は保てる。


中綴じのデザイン

中綴じは、背がないため開きがよい。ノドのアキが狭くてもレイアウトが見やすいうえに、ノドを意識しないで、見開きの全面を一枚の紙面として考え、自由にレイアウトすることもできる。ただページ数が多いと、折によってズレが生じるので、上記のような調整が必要。 そのような場合は、一般的には小口側が断裁されないように、仕上がりサイズを短くしたり、版面をノド側に寄せたり、版面を狭くするなどして対応する。 いずれにしても、事前に束見本を作って、折ごとの仕上がりサイズを確認したい。

余白とのバランス

可読性、読みやすさをもっとも優先して版面を設計するが、誌面(レイアウト)の美しさも考慮しなければならない。たとえば、上品にするという意図で余白を広くとったり、または、情報が沢山つまっているような印象を版面の大きさに反映させることもある。その要素となるのが、書体の形、ウェイトからくるアキの詰まり具合、どれだけ小口・天・地の余白を持たせるか、である。書籍(雑誌)のジャンルやイメージも版面設計やレイアウトに大きく影響する。

時代による版面の変化

一冊ごとに異なる版面の設定だが、時代による大きな流れもある。左の四つの例から級数と一行の字詰めに注目すると、文字サイズは大きくなり、一行に入る文字数が少なくなっていることがわかる。

本文 : A-OTF 秀英明朝 L (モリサワ) 14pt 行送り25pt
小見出し : A-OTF 秀英明朝 B(モリサワ)26pt
キャプション : A-OTF ゴシックMB101ProR11pt

編集:吉田秀次
デザイン:漆崎勝也
企画・発行・印刷:朝日メディアインターナショナル株式会社

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