漆崎勝也

今回の月刊エディトリアル「Vol.UK」では弊社のアートディレクターを紹介します。欧文・和文のタイポグラフィを得意とし、テキストと写真の複雑な誌面デザインから、シンプルなビジュアル表現まで様々なデザイン経験があります。現在まで、装丁、雑誌エディトリアルの仕事を中心に、ブランディング、ロゴデザイン、デジタルインターフェースデザイン、日経電子版などの過多な情報を扱ったデザインにも携わってきました。

ビジュアル表現する方向と方法

ロンドン芸術大学卒業後、アレクサンダー・ゲルマンに師事しデザイナーのキャリアを開始する。アイデアが基にありそれをどう表現するかの方向を考えることでデザインの制作作業が始まる。その方向はいろいろなルートがあり一番効果的ものを見つけだし紙の上でビジュアルを展開する。決定させるものは、書籍のもともとのコンセプトや、コミュニケーション相手の読者を考慮するもの、または直感であったりする。それが決まった後は、持ち備えたデザインの基礎、タイポグラフィの根本的考え方から自然に生み出される。そうしてデザインを完成させている。

漆崎の仕事実績のポートフォリオサイト『urushizaki.com
装丁やエディトリアルなどグラフィック作品が多数掲載。
※ こちらにご依頼いただいたお仕事は朝日メディア・デザイン部にて承ります

Alexander Gelman
アレクサンダー・ゲルマン

90年代、ニューヨークのデザイン会社「Design Machine(デザインマシーン)」を立ち上げ、アートディレクターとして世界のデザイン界で成功を収めたAlexander Gelman(アレクサンダー・ゲルマン)。漆崎が弟子入りしたときはブランディングコンサルタントから現代アーティストに転向した時であった。広告や書籍、雑誌などの出版・印刷物のデザインの依頼を漆崎がゲルマンに代わって対応しすべての制作を担当した。同時にコンテンポラリーアート作品制作のアシスタント作業も行った。ここでの仕事を通してゲルマンのデザイン哲学「Subtraction(引き算)」の考え方と実践方法を体得。それを様々な書籍の装丁デザインや雑誌エディトリアルなど幅広く現在の仕事に応用している。


University of the Arts London
ロンドン芸術大学
(キャンバーウェル大学)

ロンドン芸術大学(University of the Arts London)はセントラル・セントマーチン、チェルシー、キャンバーウェル、LCC、LCPの5つの大学の総称。漆崎が卒業したキャバーウェル大学は特に現代アート科から多くの有名美術作家を輩出しており、グラフィック、イラストレーションのコースがヨーロッパや米国でよく知られている。この大学で4年間タイポグラフィ、ブランディングのデザインの課題研究を行う。担当教授のCHKデザイン主宰クリスチャン・カスターズからはタイポグラフィの考え方の根本、本やポスター、印刷などのメディアに展開する応用テクニックを学んだ。

【左】南ロンドンに位置するロンドン芸術大学(キャンバーウェル大学)。この大学でグラフィックデザイン(タイポグラフィ、ブランディング)を学ぶ。【右】Christian Küsters(クリスチァン・カスターズ)はロンドンの建築系雑誌のアートディレクションを行う。書体デザイナーでもあり、広告メディア・デザイン専門雑誌「CR(クリエイティブ・レビュー)」でよく紹介される。

装丁デザイン作品

『レジリエンスとは何か』— 枝廣淳子 著

現代社会で必要とされている「レジリエンス(しなやかな強さ)」と、絶対的な地球の大地のイメージを関連付けている。地表を表現するため、エンボス加工された“タントセレクト”という用紙をカバーに選定し、読者が手触りでもデザインを楽しめるようにしている。
東洋経済新報社/並製/四六判(188mm×130mm)/283ページ 詳細

『マネジメントの基礎理論』— 海老原嗣生 著

本文フォーマット・装丁・図版、すべてのブックデザインを担当。海老原嗣生氏のマネジメント理論を、図版やピクトグラムで理解しやすいように表現した。明るくポップなイメージにすることによって、難しそうなイメージを払拭し、一般の読者にも訴求力を高めるようにデザインした。
プレジデント社/並製/四六判(188mm×132mm)/208ページ 詳細

『7の女、8の男 節目年齢に負けない34のトラブル回避術』— 福田千晶 監修

福田千晶監修の健康系の著書。ブックカバー、表紙、本文フォーマット、図版、すべてのアートディレクションを担当。本文には、読みやすさとわかりやすさを追求した書体や配色で、スッキリした印象のレイアウト。カバーに落ち着いた彩度のピンク色を大きく配色し、さらに白と緑で全体的にやわらかな印象のデザインしている。
新潮社/並製/A5判(210mm×148mm)/159ページ 詳細

『アイドル国富論』— 境真良 著

アイドルと日本経済の関係性を題材にした境真良氏の著書、装丁と本文フォーマットのデザインを担当。アイドルが持つポップなイメージと、日本経済というシリアスなイメージを両立させたデザイン。タイトルにデジタルな印象を与える書体を使用し、アイドルが注目されている現代(=インターネットメディアの現代)を表現した。
新潮社/並製/A5判(210mm×148mm)/159ページ

『グラスリッツェンメソッド
— ダイヤで描くガラスアートの世界』— 宮崎純子 著

ガラスにイラストを描く、「グラスリッツェン」と呼ばれるアート作品と、その制作方法が掲載されたビジュアル本のブックデザイン。高級感・重厚感が出るよう、カバーに銀の箔押しを施し、ガラス上に描かれる線画も併せて表現した。
講談社エディトリアル/並製/B5判(252mm×176mm)/71ページ

『お客様の期待を超え続ける営業スイッチ!』— 福島章 著

営業コンサルタント福島章氏の著書。装丁を担当。電源のアイコンをカバーの全体に配置しインパクトのあるデザインになっている。印刷には“蛍光インキ”を使用しスイッチが光っているよう演出している。また、地色とタイトル明度差を大きくしまずタイトルが目に入ってくるようデザインした。
同文舘出版/並製/四六判(188mm×128mm)/256ページ

『「地域一番コンサルタント」になる方法』— 水沼啓幸 著

地域においてコンサルタント業を成功させる方法が書かれている。テーマの「地域密着型」というビジネス書でありながら柔らかな印象という点にフォーカスし、緑・白・クリーム色を配色、書体には“筑紫A丸ゴシック”という丸いエッジのものを用いた。見返しには“クラフト紙”を選定し、カバー同様、やさしいイメージを演出した。
同文舘出版/並製/四六判(190mm×130mm)/248ページ

『実戦! 英語でスピーチ ガツガツ伝える文例集』』
— 鈴木INDY哲治 著

様々なシチュエーションにおけるリアルなとっさの表現を収録した本。コメディタッチの英語のやりとりのフレーズ文例集。装丁、本文デザインはイラストレーター西井佑助氏の線画イラストを使用しキャラクターと英語を話すシチュエーションを演出。
実業之日本社/並製/A5判(210mm×148mm)/128ページ 詳細

『散歩と旅で写真がうまくなる』
— NPO法人フォトカルチャー倶楽部
編集クラブツーリズム 編集

ナショナルジオグラフィック社出版のカメラ撮影教則本の装丁・フォーマットデザイン。カメラの機能の説明や撮影の手法などを写真、図版で説明する書籍のページレイアウトなどのエディトリアルデザイン。
日経BP ナショナルジオグラフィック社/並製/A5変形判(208mm ×182mm)/164ページ 詳細

本文 : A-OTF 秀英明朝 L (モリサワ) 14pt 行送り25pt
小見出し : A-OTF 秀英明朝 B(モリサワ)26pt
キャプション : A-OTF ゴシックMB101ProR11pt

デザイン:漆崎勝也
企画・発行・印刷:朝日メディアインターナショナル株式会社

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