図版
図版(図解)は、本文の記述以外にメッセージを伝える手段として有効です。弊社が携わっているビジネス書・実用書の制作において、図を組み込むことも多いです。最近ではピクトグラムを用いることも増えてきました。今号では、図版の役割、情報整理の仕方、図の使い方ピクトグラムの制作方法を紹介いたします。
「図」で「全体」と「部分」の関係を理解
弊社では、図や表やグラフなどを総称して「図版」と呼んでいますが、特に図の使い方に気を使っています。 図の最大の特徴は、「全体像」と「部分同士の関係」をひと目に見渡すことができることにあると考えています。「全体」と「部分」が目に見えて、その関係がわかることが大きなメリットです。文章では記憶に残りにくいことも図があると印象が鮮明になったり、想起しやすくなったりすることがあります。文章を読みながら、数ページにもわたってその内容を記憶し続け、頭の中で全体を構成するのは難しいことです。そんなときに、図が使えないかどうかを考えます。 図の基本となるのが「マル」と「矢印」です。ものごとを図で説明する場合は、ほとんどの関係はマルと矢印で表現することができます。多く使われるのは以下の6パターンです。それぞれの役割を確認してください。
「マル」の使い方
矢印の使い方
箇条書きのメリット・デメリット
全体像を把握するための方法として、「ポイントを箇条書き」にするという方法があります。ビジネス書でも章末や項目の末尾に要点を箇条書きにするケースが多く見られます。時間がないときや飛ばし読みをしたいときは便利です。しかし、どの項目にウェートが置かれているのか、項目同士の関係はどうなっているのか、ということが見えてこないことが欠点として挙げられます。本文の理解を補足するためであれば、図(解)を使ったほうがいいでしょう。
図版とイラストとの違いは?
イラストとの違いというと、論理性があるかないかです。図版で表現するのは、「関係づけ」です。文字で書かれた内容から項目や事象を立体的にとらえ、多面的に実態を把握する力といってもいいでしょう。他方、イラストはイメージを鮮明に伝えたい場合に有効です。これも文章では伝えられない部分と言えるでしょう。ただ、イラストはイメージを伝えやすくする反面、具体的な描写の場合は、相手に先入観を持たせてしまう危険性もあるので要注意です。
図のタイプの選定
図は次の4つのメッセージを伝えることができます。
構成要素や成立条件を伝える
複数の事柄を比較する
課題と解決策、プロセスを伝える
階層やレベルの違いを明らかにする
言葉の代替・補足、アイキャッチに
使用されるピクトグラム
ピクトグラムは、道路や駅構内、商業施設などたくさんの人が利用する場所で多く活用されています。古今東西、老若男女が一目見てもわかることを前提に作られていますので、書籍で使用するケースも多いです。ピクトグラムが使用されるのは、言葉で説明するスペースが足りない場合が多いです。デザイン能力だけでなく、伝えたいことの本質を見抜く解析能力が問われます。
弊社が制作した図版例
本文 : A-OTF 秀英明朝 L (モリサワ) 14pt 行送り25pt
小見出し : A-OTF 秀英明朝 B(モリサワ)26pt
キャプション : A-OTF ゴシックMB101ProR11pt
編集:吉田秀次
デザイン:漆崎勝也
企画・発行・印刷:朝日メディアインターナショナル株式会社
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