製本
一見同じように見える本も、綴じ方や製本の仕方によって、使い勝手やたたずまいが変わります。エディトリアルデザインの際には、書籍の目的や想定する読者層によって造本設計を考える必要があるのです。今回は本の綴じ方・面付けと紙取り・製本の方法などの基本知識を学んでみましょう。
本の綴じ方
綴じ方には大きく分けて、「無線綴じ」と「糸かがり綴じ」がある。「無線綴じ」とは、接着剤以外のもの(糸など)を使わずに綴じる方法。強度を増すために、接着剤に触れる表面積を増やす切り込みを入れる。 他方、「糸かがり綴じ」は、文字通り糸でかがる方式。折り丁単位で印刷された本文に背側から小さな穴を開けて、そこにかがり糸を通し本文を固定する。折丁どうしの接着が、かがり糸が横糸を一周することで固定するほか、糸でかがった上から接着剤でさらに固定する。最も強力な綴じ方だが、無線綴じに比べ手間がかかる。 「網代綴じ」は、針金や糸類を用いず接着剤のみで本文を固定する点は無線綴じと同じ。ただ、無線綴じと異なるのは、折丁印刷した本文に外側から背と平行に切り込みを入れて、折丁内の本文を露出させ、本文内部も一回の接着で固定する。糸かがり綴じと無線綴じの中間のような綴じ方。現在は、この方法が主流。 「ガリ無線綴じ」は、背の前面を削ってそこに接着剤を流し込む方法。他の方法に比べ強度が劣るが、安価に仕上げられる。
面付けと紙取り
印刷時の面付けと製本の折りの関係を考える。印刷は通常1枚の大きな紙に何ページ分かをまとめて印刷し、製本工程で折りたたんでページ順に仕上げる。大きな紙には、一見バラバラに印刷されているが、その配列には製本の折りを考えた規則がある。その規則にしたがって配列することを面付けという。 この面付けは印刷用紙サイズに合わせて行われる。このとき、ムダな余白がでないような紙を選ぶ必要がある。基本的には、仕上がりがA列の場合は、A判か菊判を、仕上がりがB列の場合はB判か四六判を選ぶ。
四六判の面付けの方法
製本の方法
製本の方法は、「上製本(ハードカバー)」と「並製本(ソフトカバー)」にわかれる。上製本は、本文の用紙サイズよりもひとまわり大きい丈夫な板紙が入った表紙でくるむのに対して、並製本は文庫や新書のように、表紙と本文用紙サイズは同サイズになる。 上製本は、表紙は芯紙を布クロスや紙クロスでくるみ、丸背や角背で仕上げる(左下参照)。長期の保存に耐えられるのが大きな特徴で、事典・小説・写真集・記念誌などの製本に用いられることが多い。 一方、並製本は一般的にホットメルトという接着剤を使用し、中身と表紙を同時にくるみ、三方を仕上げ裁ちしたもの。上製本に比べ工程・資材が簡略化されているため、加工時間・コストとも低く抑えられる。
並製本の製造工程
上製本の製造工程
背の形状の違い
本文 : A-OTF 秀英明朝 L (モリサワ) 14pt 行送り25pt
小見出し : A-OTF 秀英明朝 B(モリサワ)26pt
キャプション : A-OTF ゴシックMB101ProR11pt
編集:吉田秀次
デザイン:漆崎勝也
企画・発行・印刷:朝日メディアインターナショナル株式会社